裁量労働制とは

実際に労働した時間数ではなく、労使で定めた「みなし労働」の時間数を労働したものとみなす、労働時間の制度です。使用者の指示を一切受けることなく、自分の裁量で労働時間を決めることのできる制度であるとされています。

裁量労働制には、専門的な業務を対象とする「専門業務型裁量労働制」と、事業の運営において企画・立案・調査・分析をすべて行う業務を対象とする「企画業務型裁量労働制」の2種類があります。

裁量労働制と同じ「みなし労働」の制度として、事業場外で業務に従事し、使用者の具体的な指揮監督が及ばない業務を対象にした「事業場外みなし労働時間制」もあります。

裁量労働制は「定額働かせ放題」制度

裁量労働制は名目上、労働者が自由に働き方を決められる制度とされています。たとえば、みなし労働時間が7時間だった場合、たとえ1日5分しか勤務していなくても7時間分の賃金が払われます。自由な時間に出勤・退勤することができ、会社が指示をしてはいけません。

しかし実際には、1日のみなし労働時間を短くしたうえで、それをはるかに上回る労働時間で働かされてしまい、給料はみなし労働時間分の賃金しか払われないというケースが少なくありません。また、出社時間の厳守や残業を命じられるなどの運用も頻繁に行われています。

このように多くの職場において、裁量労働制は、残業代を一定額しか払わないで労働者を長時間働かせることのできる、「定額働かせ放題」の制度になってしまっています。